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こどもの頃、服を買ってもらった記憶がない。
例えば、大人の古着のTシャツを肩上げしたワンピースを着せられたり、思わぬシミが付いた服には、絵の具で絵を描かされた。唯一、買ってもらった新品のカットソーを、母が「これはバランスが悪い」と言って、おもむろにハサミで片袖を切り落とした。
大人になり出会ったマルジェラは、どこか懐かしく、自由で胸が張り裂けそうな服だった。
これは、服の誕生に携わった人それぞれの真実が語られたフィルム。けれどマルタン自身はどこにもいない。彼の真実は服の中に封じ込められているだけ。

内田也哉子(文筆業)

完成させない、不比率の洋服。
100%の服に対するクリエイション。
美しいものはそこから生まれてくる事を彼は知っている。

北村道子(スタイリスト)

ファッション界の常識を超えて生まれたマルタン・マルジェラのファッションは、最初から驚きだった。
映画では彼の回りで働くクリエイティヴ集団、ビジネスパートナーのジェニー・メイレンスなどによって「マルジェラとは?」が明らかになっていく。

平山景子(ファッションディレクター)

彼自身について映画の中の人達のように僕が何か言えることは無いが、
一つ言えることは彼は存在していて、彼の創り出した世界は今も
ずっと永遠に終わらない物語のように紡がれていっている。

鈴木親(写真家)

パリコレで、退屈なショーを数えきれない程見た。例外は、マルジェラのショー。
彼はファッションを通して自分を表現するアーティスト。皆に愛される服なんか作らなかった。
そんな熱い服を見て、着て、私は幸せだった。

深井晃子(服飾研究家)

彼らのショーにモデルとして出ることは、彼らの共犯者になることを意味していました。
なので、モデルも「we」なのです。語らなくて済むのであればわたしはいつでも語りたくない。
「情報」になる前に逃げること。それが彼らから学んだ最大のことです。

藤本祐(モデル事務所AMAZONE代表)

『We』と『I』。
私達は一人ではない。決して一人ではなく私達であることは何か。
私達は決して私になることは出来ないが、限りなく私に近づきたい。

北澤武志(DRESSEDUNDRESSED Designer)

前例無き創造に挑戦し続けたマルタン・マルジェラ。
自由を担保する為に個人性を秘匿した結果、メゾンは二人称複数で語り始める。
この映画の主役はマルジェラでもパートナーでもなく‘創造性の呪縛’という怪物かもしれない。

栗野宏文(ユナイテッドアローズ上級顧問)

アーティストとの出会いは突然やってくる。
知人からの紹介や、卒業制作展での発掘など、さまざまだ。
マルジェラとメイレンス。
アーティストとの出会いを大切にしていきたい。

金近幸作(ギャラリスト)

アートを作ることを生業する私にとって、
何かが生まれ、それがかたちになっていくすがたを見るのは刺激的で、また実際にその現場に立ち会った方の話に勝るものはない。
それを見て感じることに嬉しく思う。

桑田卓郎(アーティスト)

WEという言葉には、「私たち」とも、「あなたと私」ともとれる余白がある。
その余白は、寡黙に見えてとても雄弁。
何も言いたいことがない時、何も言いたいことがないことを言えば、何かは伝わる。

「         」という余白が、どんな言葉よりも、多くを語ってくれた。

森永邦彦(ANREALAGE デザイナー)